松村吉雄税理士事務所

【相続特集】万が一の場合、愛する家族がまごつかないように、争わないために・・・

【相続特集】嫁の養子縁組

Aさんは、一人っ子で三年前にBさんと結婚しましたが、いまだに子供に恵まれていません。 家族はAさん夫婦と、両親の四人暮らしで、嫁と姑の問題も、あまり仲が良い方ではないが、Aさんが上手に間に入り、表面上は世間並みの状態です。 Aさんの父親は、今はリタイヤしていますが、上場会社の役員まで務め、預貯金も相当額あり、また、もともと先祖からの土地が市街地にあることから、相続税を試算すれば、評価額で10億円、相続税額では約2億円とのことです。 Aさんの父親が親しくしている生命保険のセールスから、相続対策の講演があると誘われて、父親はさっそく聞きに出かけました。その講演で、養子縁組をして法定相続人を増やせば、相続税の節税になると聞き、家族と相談の結果、Bさんと養子縁組をすることにしました。縁組をすることにより、相続税は1億8千万円となり、2千万円の節税になります。 母親は、嫁と養子縁組すれば、財産の四分の一は嫁の権利になることは知っていましたが、息子がいてくれるので問題はないと思っていました。 ある日、Aさんの父親が人間ドッグに入り、検査した結果、肺がんであると診断されました。本人には知らせてはいませんが、医者の話ではよくもって6ヶ月とのことで、家族は相続の日が近いことを覚悟しました。 ところが、Aさんが病院へ父親を見舞った帰り道、飛び出してきた自転車を避けようとして道瑞の電柱に激突し、救急車で病院にかつぎこまれましたが、手当のかいなく亡くなりました。
不幸は重なるもので、それから3ヶ月して息子の後を追うようにして父親が息を引き取りました。
相続人は母親とBさんで、母親が二分の一、Bさんが二分の一の相続となりました。Aさんがいない今、嫁と姑の二人になればうまくいくわけがなく、四十九日も過ぎ、一段落ついたところでBさんは実家に帰ってしまいました。
母親にとっては、たった3年余り暮らしただけで、父親の財産の二分の一が嫁の実家に持っていかれたことについて納得できないことでしょう。 ちなみに、Bさんが亡くなれば、Aさんの父親の財産の半分は、Bさんの直系尊属(父母又は祖父母)、直系尊属がいないときには、Bさんの兄弟、もしくは甥、姪にわたることになります。 養子縁組を相続税の節税の手段にする人は結構いますが、養子縁組の本来の主旨を間違いのないようにしなければ、大変な事態になることもあります。

養子縁組による相続税の節税

基礎控除額が増える
相続税の基礎控除は、5,000万円に法定相続人の数に1,000万円を乗じた額を加算した額となっていますので、養子縁組をすることにより、基礎控除は1,000万円増えることになります。
税率が低くなる。
相続税の総額の計算は、課税財産を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとした額に、それぞれ税率(累進税率となっており、額が増えれば税率も高くなる)を乗じた額を合計するもので、養子縁組により法定相続人が増えれば、一人あたりの取得したものとした額が少なくなりますので、相続税の総額は少なくなります。
一代飛ばしの相続
孫を養子縁組することにより、子供を飛ばして財産を孫に相続させることができますので、二代目すなわち子供の相続対策として大いに節税効果があります。

2割加算(相続税額の加算)
財産を取得した者が、一親等の血族(親、子)及び配偶者以外の者である場合には、相続税額にその2割相当額を加算した税額を納付しなければなりません。したがって、孫養子(Cさんの孫)は、この2割加算の対象となります。

相続税法における養子縁組の規定

以前は養子の数に制限がありませんでしたが、明らかな租税回避の目的で、養子縁組をする人が増えたことから、相続税を計算するにあたり、法定相続人の数に加える養子の数は次のとおりとされています。
  • 被相続人に実子がある場合 1人
  • 被相続人に実子がない場合 2人
ただ、養子の数が制限されるのは、相続税の計算のみで、民法による養子縁組を規制するものではありません。したがって、養子縁組された人は法定相続人としての地位は有します。
文字サイズ
松村吉雄税理士事務所
530-0013大阪市西区新町1丁目3番12号 四ツ橋セントラルビル605号
TEL:06-6531-3841FAX:06-6531-3720
E-Mail:info@matumura-kaikei.com

©Matsumura Yoshio Licensed Tax Accountant Office. All Right reserved.

Powered by SUGOUDE WEB-Corp.pkg-type.A-02 Site-Ver1.0.0.0

ページの上部に戻る