松村吉雄税理士事務所

【生前贈与特集】

親からの借金

Question
家を購入するにあたり、親から借金をしょうと考えています。
税務署では親子間の金銭の貸し借りは一切認めてくれず、贈与と認定されて贈与税がとられると聞いていますが本当でしょうか?
Answer

ご質問のように親子間の金銭貸借について税務署は贈与であると認定するケースは多く見受けられます。しかし、税法には「親子間の金銭貸借は贈与とみなす」という条文はどこをさがしてもありません。たとえ親から借りようが、借りた金は間違いなく借金です。 税務署とすれば、形式上は親から借りたことになっているが、本当は親からもらった金であるので贈与であると認定します。 税務署に贈与ではなく借金であると認めてもらうには、一般の賃貸借と同様で、返済条件、利率、そして返済できなかったときはどうするか等の条件を記載した借用証書を作っておかなければなりません。 借用証書については公証人役場で「公正証書」にしておくにこしたことはないが、そこまでしなくても借用証書に「確定日付」をとっておく方がよいでしょう。「確定日付」は借用証書を公証人役場へ持っていけば、日付のスタンプを押してくれ、このスタンプを押した日に借用証書が確かに存在したという証明になりますので、親子間の金銭貸借について税務署からの呼び出しを受けてから、あわてて借用証書を作ったのではないということが証明されることになります。 贈与ではなく金銭貸借であると税務署を説得するためには、次のポイントに留意してください。

【返済条件】
借りたお金は当然返済しなければなりません。その返済条件については銀行等で借りた場合はどうであるかを参考にして決めればよいでしょう。ただ、毎月の収入から返済すれば、給料がほとんど残らず、どうして生活をしているのか疑問が生じないようにしてください。逆に、据置期間が20年、その後30年の分割返済というような現実性のない条件も避けるべきでしょう。
【利息の取り決め】
人からお金を借りれば利息を支払うのが当たり前で、当然借りた親に対して利息を払うことになります。その利率についても返済条件と同様、銀行等で借りた場合を参考に決めればよいと思います。 利息を受け取る親は、その利息については所得税の対象となり、雑所得として申告することになります。ただ、親が給与収入以外の所得がない場合は、年間合計20万円までは申告しなくてもよいことになっています(個人事業を営み、毎年確定申告をしているときは、利息の多少にかかわらず申告しなければなりません)。 利息をつけなければ、その利息相当額に対して贈与税が課税されることになりますが、通達により「課税上弊害がないと認められる場合」は贈与税が課せられないように取扱われています。その範囲については、適正な利率を年2%であるとした場合、贈与税の基礎控除の110万円に相当する元本は5,500万円ということになります。ただ、利息を付さない場合は「借用証書」に無利息であることを明示しておくべきでしょう。
【返済の実績】
借用証書等で返済条件、利息を取り決めても返済の実績があるかどうかが、借金か贈与かの判断の決め手になりますので、手渡しで返済するのではなく、必ず銀行振込により返済を履行してください。それにより銀行という第三者に返済の裏付けが証拠として残ることになります。 もう一つの方法として、親が銀行に対して定期預金をし、その定期預金を担保にして子供が銀行から借り入れれば、定期預金の利息と借入金の利息との差額は負担となりますが、親子間の貸し借りのような煩わしさがなく、贈与税の心配も無用です。 この場合、税務署のチェック(お尋ね等)の後、やれやれと定期預金と借入金を相殺すれば、その時点で贈与税が課税(子供の債務を親が負担)されることになりますので注意してください
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